不法行為の効果

不法行為の効果
不法行為
成立要件
不法行為の効果<
損害賠償
責任能力
不法行為の準拠法
ホーム >> 不法行為の効果


不法行為の効果

不法行為の効果
不法行為の一般的効果
不法行為の一般的効果は次の通りである。
損害賠償義務の発生
不法行為が継続的なものである場合にはその差し止め
 
損害賠償の方法
損害賠償は金銭賠償が原則である(722条1項・417条)。
原状回復などの特定的救済は名誉毀損の場合(723条)などに例外的に認められる。
 
損害賠償の内容
慰謝料(財産以外の損害の賠償 710条)
近親者に対する損害の賠償(711条)
 
過失相殺
不法行為責任において、被害者側に過失が認められる場合であっても、裁判所は、それを賠償額の計算に反映させず、損害額全額を認容することができる(722条2項)。
これに対し、債務不履行責任においては、裁判所は、これを必ず認容額の計算に反映させなければならない(418条;両条文の文言の違いに注意)。
これは、不法行為責任においては、被害者救済の見地から、裁判所により広い裁量を認める趣旨の規定であって、債務不履行責任との大きな違いのひとつといえる。
過失相殺を行うには、未成年者の場合、責任能力がなくとも事理弁識能力が備わっていれば足りる。


損害賠償請求権の行使期間
損害賠償請求権の行使期間
損害賠償請求権について民法は「不法行為による損害賠償の請求権は、被害者またはその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。
不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする」と規定する(724条)。
724条前段の「被害者またはその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間」については消滅時効の時効期間であると解されている。
消滅時効の起算点は「被害者またはその法定代理人が損害及び加害者を知った時」とされている(724条前段)。
損害を知った時について、判例は受傷時に予期できなかった後遺症については後日治療を受けるようになるまでは治療費用の時効は進行しないものと解している(最判昭和42年7月18日民集21巻6号1559頁)。
また、加害者を知った時については「加害者に対する賠償請求が事実上可能な状況のもとに、その可能な程度にこれを知つた時」を意味すると解されている(最判昭和48年11月16頁民集27巻10号1374頁)。
724条後段の「不法行為の時から二十年」については除斥期間を規定したものと解されている(最判平成元年12月21日民集43巻12号2209頁)。
除斥期間の起算点は「不法行為の時」とされているが(724条後段)が、判例は身体に蓄積する物質が原因で人の健康が害される場合で、一定の潜伏期間が経過した後に症状が現れる疾病など、加害行為から相当期間たってから損害が発生する場合は、損害発生時から起算するとしている(最判平成18年6月16日民集60巻5号1997頁)。


請求権の競合の問題
請求権の競合の問題
債務不履行責任との関係で、ある行為が不法行為責任と債務不履行責任の両方の成立要件を満たす場合には請求権が競合することになる。
この場合、被害者は加害者に対して、不法行為責任を追及することも、債務不履行責任を追及することもできるとされている(詳しくは訴訟物を参照)。
 
行政上の不法行為責任
民法上の不法行為責任(709条以下)の特則として、国家賠償法が用意されている。
 
訴訟物
訴訟物(そしょうぶつ,Streitgegenstand)とは、民事訴訟法学上の基本概念の一つであり、狭義には、裁判所がその存否を審理・判断すべき権利ないし法律関係をいう(訴訟物たる権利関係。ただし、例外的に事実も含まれる)。
広義には、訴訟上の請求と同義に用いられることもあり、この場合には、原告の被告に対する一定の権利ないし法律関係の主張(権利主張)という意味で用いられたり(狭義の請求)、権利主張に加えて裁判所に対して原告の権利主張を認めて一定の形式(給付、確認又は形成)の認容判決をせよとの要求(判決要求)を含む意義で用いられる(広義の請求)こともある。
訴訟物とは審判の対象のことである、というのが通常の説明であるが、少なくとも日本の判例の理解としてはこの説明は若干正しくない。
判例によると、訴訟物以外にも訴訟物に密接に関連した事項が訴訟物に準じたものとして審判の対象となり、そのような事項についても既判力に準じた効力が生じるとされる。
   

訴訟物論争
訴訟物論争
訴訟物は、請求の併合(民事訴訟法136条。訴えの併合ともいう)の有無(原告がいくつかの法的主張を持ち出したときに、これを単に請求原因が複数主張されているだけとみるのか、それとも複数の請求(広義の請求)がなされているとみるのか)、二重起訴の禁止(同法142条)の範囲、訴えの変更(同法143条)の有無(原告が法的主張を変化させたときに、これを単に請求原因の変更とみるのか、それとも従前とは別の請求(広義の請求)がなされているとみるのか)、既判力の客観的範囲(同法114条1項)を決する主要な基準となるとされてきた。
そこで、訴訟物の範囲をどのように決めるかが問題となったが、基本的な発想としては、旧訴訟物理論と新訴訟物理論という2つの考え方がある。
裁判実務やかつての通説は旧訴訟物理論を採用するが、現在の民事訴訟法学界では、新訴訟物理論が多数説である。
なお、ドイツでは、二分肢説が判例・通説である。
 
旧訴訟物理論
実体法説とも呼ばれる。
実体法上の請求権を基準にして訴訟物をとらえる考え方。
したがって、たとえば、原告Aと被告Bとの間に土地Xについて賃貸借契約に基づく関係(貸主A、借主B)が認められるとする。
そして、その契約終了の事実があれば、そのことから民法616条の規定により597条1項が準用され、借主は借用物を返還しなければならないので、原告Aはその土地の明け渡しを請求することができる。
さらに、土地Xについて所有権が原告Aにあれば、そのことから、Aは所有権に基づく妨害排除請求権に基づいて被告Bに明け渡しを請求することができる。
以上のように、旧訴訟物理論によると結果として同じ給付(上の例では土地の明け渡し)を求めるために複数の請求が成立しうることになる。
しかし、請求権競合をおよそ否定すれば、新訴訟物理論と同じ結論に至る。
このような見解は新実体法説と呼ばれる。
 
新訴訟物理論
五十年以上前に発表された理論。
訴訟法説とも呼ばれ実体法に関する批判から生まれた。
実体法上の根拠が複数であったとしても、紛争実態から見て一つであるととらえられるものについては、訴訟法上一つの訴訟物であるという考え方。
たとえば、土地の明渡請求において、その根拠として実体法上賃貸借契約の終了の事実、原告に所有権があるという事実などがあったとする。
旧訴訟物理論においては、それぞれ賃貸借契約終了に基づく土地明渡請求と、所有権に基づく妨害排除請求権としての土地明渡請求と訴訟物を別個のものと考えるが、新訴訟物理論によると、訴訟物を別個のものとは考えない。
つまり、その権利を生じさせる複数の実体法上の原因があったとしても、その結果導き出される権利(一定の給付を受ける地位)が同じであるならば、訴訟物としてそれらは別個のものとはならないという考え方を採用する理論。

人妻
訴訟物の機能
訴訟物を特定することは、ある訴訟物を対象として導かれた裁判所の判断の射程がどの程度にまで及ぶのかについて意味を持つ。
 
訴訟物による訴訟類型
給付訴訟(給付の訴え)
訴訟物が一定の給付を目的とする訴訟。
例としては建物収去土地明渡請求訴訟。
訴訟においては基本的な類型である。
確認訴訟(確認の訴え)
訴訟物が法律関係の確認を目的とする訴訟。
例としては債務不存在確認訴訟。
訴訟においては補充的な類型で、一定の要件を満たしたときのみ許容される。
詳細については訴えの利益を参照。
形成訴訟(形成の訴え)
訴訟物が一定の法律関係の形成を目的とする訴訟。
例としては株主総会決議取消訴訟。
 
国家賠償法
国家賠償法(こっかばいしょうほう、昭和22年10月27日法律第125号)は、1条で、国(日本国)又は公共団体の公権力の行使に関する損害賠償の責任を、また2条で、公の営造物の設置管理に関する損害賠償の責任を規定した日本の法律である。
行政救済法の一つで、行政法に分類されるが、民法の特別法としての側面も持つ。
国家賠償法、行政不服審査法、行政事件訴訟法を合わせて「救済三法」と呼ぶ。
人妻の考えから紐解くことが重要です。


Yahoo!検索